EMOIRができるまで

EMOIRができるまで

本日でオープンからちょうど1ヶ月が経ったEMOIR。

もう1ヶ月経ったのか

と思う反面、

まだ1ヶ月しか経ってないんだ

と思う気持ちも。

というのも、EMOIRを立ち上げようと動き始めたのは実は2021年に遡ります。

今回は、EMOIRを立ち上げるに至った経緯について

今まであまり触れてこなかったので少し書いてみようかな、と思います。

 

──────────────────

 

元々バレエウェアを作るということには興味があり、

中学生の頃は授業中暇になるとノートの隅っこによく

「こんなレオタードがあったらいいな〜」

と思いながら絵を描いていました。

(授業中は暇な訳ないんですけどね、、笑)

お洋服が好きだったこともあり、漠然と

"もしプロのダンサーになれなかったらアパレル関係に就くか、バレエウェアの開発をしたいな"

と思っている時期もありました。

そんなこんなで、当時はなんとなくそう思っていた時期もあったな〜...

程度で、その後中国留学やドイツ留学を経てバレエ団にも入れたのですが

バレエ団に入団してからしばらく経った時、世界中が大変だったロックダウンが始まりました。

ドイツの私が住んでいたドレスデンでは、愛犬のお散歩か、スーパーorドラッグストアへ行く以外は外出禁止、という厳しいルールが設けられた期間もあり、幸い愛犬と一緒に暮らしていた私は朝晩のお散歩で毎日一応外に出ることはできていたのですが、なんせ街に人が全くいない。

おまけに建物も戦時中の黒炭が残っているような歴史ある建物ばかりで暗い建物がほとんどだったため、本当に都市伝説の世界に迷い込んできたような、デッドタウンと化した街に少し恐怖すら覚える程でした。

話が逸れましたが、そんな状況で家にいることが多かった時期、とにかく時間を潰そうと色々なことをしていました。

いつ劇場に戻っても大丈夫なように身体を動かすのはもちろん、

昔好きだったアニメを1話から全部見たり

電子ピアノを買ってみたり( ←幼稚園・小学校低学年時代に少し習っていたんです。この時買った電子ピアノは3日坊主で終わりましたが..🤫w )

ミシンと生地を買って初めて愛犬のお洋服を作ってみたり

ペット看護師の資格を取ってみたり...

良いのか悪いのか、多趣味な為とにかく色々なことをやってみてました。

その中の一つとしてやっていたのが、バレエウェアのデザイン。

学生の頃と同じ、「こんなウェアがあったらいいな」の気持ちでした。

特に実際にバレエ団に入団した後だったので、日々カンパニーのダンサー達とウェアについて話す機会も多く、自分の中でもウェアに対する多少のこだわりも生まれてきていたので、とにかく「こんなものが作りたい」「こんなものがあるといいな」という案が沢山出てきたんです。

特にレッグウォーマーに対するこだわりは強く、新しい物を買ってみては

「ここもっとこうしたい!」と思うことも多く...

 

そんな風にお家時間を過ごしているうちに、他に時間潰しのために行っていたことをやらなくなり、デザインを描いてみたりウェアの作り方や工場を探してみたりする時間が増えました。

このロックダウンをきっかけに改めてバレエダンサーという職について考え、

"現役を引退したら何をしたいか"について本気で考え、

そして学生時代のことを思い出し、「バレエウェアのブランドを立ち上げる」

と思ったんです。

 

──────────────────

 

そう思ってからは気持ちも変わらず、ロックダウンが少し落ち着いて日本へ一時帰国をするタイミングでお洋服作りができる叔母に頼んで、シルエットや長さ、全て計りながらあーでもないこーでもないと言いながら1番こだわりが強かったレッグウォーマーを作ってもらいました。

 

(↓初めて叔母に作ってもらったレッグウォーマー)

 

 

夏だったということもあり、涼しげな薄い生地で、且つタイツにも馴染むカラーで作ってもらいました。

写真が残っていなかったのですが、このほかにもロングタイプのベージュのレッグウォーマーも。

この一時帰国の後にまたドイツへ戻り、カンパニーの子達にもレッグウォーマーを配っては意見を聞いたりしていました。

そんな風にドイツに戻ってからもカンパニーで時間を過ごしているうちに、日本に帰国するタイミングがやってきます。

実は、ブランド立ち上げの準備を本格的に始めたい。

そう思ったことが、日本への帰国を決めた理由の一つでもありました。

ありがたいことに日本でも踊る先が決まり、日々のリハーサルを行いながら休日は生地屋さんへ行ってみたり、工場へコンタクトを取ってみたり、SNS運用で必要なスキルを勉強したり...

そんな感じでバレエ団のリハーサルや舞台も忙しかった為、少しずつではありますが、帰国して日本での生活に慣れてきたタイミングで準備を始めていました。

(↓工場に依頼したレッグウォーマーのファーストサンプル)

ブランドで1番最初に出したかったものは、やはりレッグウォーマーでした。

・脚のラインが綺麗に見える且つ、ラインをカバーするのではなく、レッグウォーマーをつけていてもしっかりと自分の脚のラインと向き合うことができる

・生地がヘタレにくい (すぐに生地が伸びてしまうと、どうしても膝周りが1番ダボついてどうしても膝が曲がっているように見えてしまうんです。)

・数ヶ月履いてもずり落ちてこない強度

・だけど締め付けたくない

・フレアは欲しいけど、美脚ラインばかり気にしてフレアを大きくすると動いている時に足に絡まるのがいやだからそれは無くしたい

普段ダンサーとして時間を過ごしていたからこそ、この5点は必須条件でした。

実はこのレッグウォーマー制作を依頼した工場はレッグウォーマーを作るのは初。

普段は靴下などを製作している工場でした。

しかし沢山の私の我儘を親身に聞いてくださり、サンプル段階で何ヶ月か着用し、生地のヨレ具合等もしっかりと検証する時間を与えてくださいました。

サンプル作成→数ヶ月の試着・検証

この工程を何度も繰り返し、今回のレッグウォーマーが完成しました。

また、同時進行で行っていたのが別の工場とのトップス製作。

「なんでバレエウェアブランドなのにレオタードを1番最初に作らないのか」

という疑問の声も聞こえてきそうですが、

準備を進めていく上でもう一つ私がブランドのテーマにしたかったことが

「バレエウェアを基盤にし、私服として外で着ていてもスタイリッシュになるウェア」でした。

それは今もEMOIRの裏テーマとして、変わらないテーマでもあります。

EMOIRのコンセプトにあるように、"らしさ"にとらわれたくない。

バレエウェアブランドだからって、バレエウェアブランドらしくレオタードばかりにしなくてもいいじゃない。

そんな気持ちやコンセプトの表現もあり、レオタードではなくあえてトップスを製作することにしました。

こちらの依頼を引き受けてくださった方は、元々海外で某ラグジュアリーブランドのデザイナーをしていたり、国内の老若男女問わず誰もが持っているであろう大手のブランドさんとお仕事をしていたりと、大ベテランの方。

しかしダンサーはやはり華奢な体型な為、普通のアパレル同様にパターンを組むと身体のラインに沿わないという課題が。

シンプルだからこそ妥協したくない。

シンプルな物を作ることが何よりも難しいと言いながらもそれを作り上げることを楽しみながら、そしてご自身の積まれてきた経験から私の気持ちを汲み取り、本当に親身になって様々なアドバイスや意見をくださりました。

(次回の新作も引き続きこの方に依頼しています。)

担当のパタンナーさんには、

「この人はサンプルを作るだけ作って商品化しないのでは」

と心配をされる程何度もサンプル修正を繰り返し、話し合いを重ね、今回の形になりました。

(こんなにサンプル修正を繰り返すことは少ないようで、不安にさせてしまい申し訳無かったです..🙇‍♀️)

 

──────────────────

 

こんな背景があり、今、EMOIRを形にすることができようやくスタート地点に立つことができたこと。

「やる!」と決めてから私の我儘を何度も親身に聞いてくださった叔母をはじめ、レッグウォーマー製作の工場様、トップス製作の工場様には感謝してもしきれない思いです。

 

──────────────────

 

今回初めて触れたEMOIRが始動するまでのプロセス。

今回触れたことはごく一部ではありますが、こんな風にしてEMOIRは始動しました。

今後どんな風にEMOIRが展開していくのか、私自身楽しみで仕方ありません。

溢れるくらい、これを作りたい、これがあったら嬉しい!

と言うアイディアがあります。

そしてありがたいことに「これを作ってほしい!」と言う、まだまだ現役で踊っているダンサー達からの声も沢山頂いています。

そんな声を形にしていけるよう精進していきますので、

今後のEMOIRをお楽しみに。😌

EMOIRに対する思いやEMOIRの由来はまた別記事にて書いていこうと思います🕊️

ブログに戻る